59%

産業能率大の調査によると
今年の新入社員2人に1人は「海外で働きたくない」。



データというものはいろんな読み方ができるのだが
残念ながらほとんどの場合
誰かの読み方がイコールみんなの読み方になる。
だからこの調査結果は
“海外志向の二極化と
外国資本や人的参入への不安・抵抗感の表れ”
とまとめられておしまい。
そういえば身近な若者を見てもそんな感じがするから
「やっぱりそうか」と思っておしまい。
忙しくて内容を考える時間はないけど
遅れをとらないように“ガラパゴス化”っていう
キャッチーな言葉だけはインプットしておしまい。

それじゃぁあんまりもったいないので
元データも見てみようよ。

調査は2001年から3年ごとに行われて今回が4回目。
6月末、18-26歳の新卒者、ということはつまり
高卒・大卒・院卒と諸々の空白時間経験者を区別せず
“社会人歴もうすぐ3ヶ月”の
ほんのり社会がわかってきた人が対象。
サンプル数400、インターネット調査会社を通じてデータ収集。
『新入社員のグローバル意識調査』というタイトルが
アンケート実施時に伝えられているかどうかは不明。
被験者の勤務先規模・業種なども不明。

調査内容は大きく分けて二つ。
『海外志向』と『グローバル化』。
要するに『自分が外国に行くこと』と
『外国が入ってくること』に分けて質問しているらしい。

まずは『海外志向』について。

海外で働きたくない49.0%。
どんな国でも働きたい27.0%。
国・地域によっては働きたい24.0%。

報告では「どんな国でも」だけが“高い海外志向”と評されているが
私は「国・地域によって」もじゅうぶん海外志向だと思う。
というわけで海外志向は27+24=51%。
この時点でもう見出しを揺るがせてしまう。

さらに細かく見てみると
海外勤務を命ぜられたら「断固拒否」はわずか5.3%。
不安材料の内訳は「仕事はともかく生活面」。
まぁ3ヶ月目の会社員を相手に
「仕事上の責任の重さ」と
「言葉」や「治安」とを並べて聞くのはどうかと思うが
とにかくニッポンのサラリーマン。
イヤでも行くんだね。エライ。

ちなみに留学経験者では
どんな国でも働きたい48.1%。
国・地域によっては働きたい36.7%。
海外で働きたくない15.2%。
留学経験なしの「働きたくない」は57.3%だから
食わず嫌いが大きく影響していることになる。
ということは命令によりしぶしぶでも海外勤務を経験してみると
意外と大丈夫だったりして
帰国後の感想は変わっちゃうのかもしれない。
初海外を経験した後で
「また行きたい」「二度と行きたくない」のアンケートを取ってみてほしい。

また、視点を変えてこのデータを読むと
「日本国内で働きたい」が49%、
「国・地域を選べるなら海外でもいい」が24%で
合計73%の圧倒的多数が働く場所について
はっきりとした希望を持っているということになる。

だって普通に考えたってそうじゃない?
バブル世代でもないのに「海外だったらどこでもOK」なんて
現実味がないよ。
特定の国に目を向けている方がイマドキだし
むしろ真面目に冷静に具体的に
世界や自分の能力を見ることができてるんじゃないかと思うよ。

続いて『グローバル化』について。

外資による合併についての質問は
回答がとても難しかっただろうと思う。
繰り返すけど入社3ヶ月目だからね。
たとえば“不安増”として取り上げられている項目をよく見ると
実際のアンケートでは
「日本の良さが失われそうで不安」と書かれている。
ナショナリズム・和ブーム満開の昨今、
生き馬の目を抜くビジネスの世界という文脈で
文化・習慣を匂わせる「日本の良さ」って表現は
適切かしら。

この他もそれぞれ解釈に幅がある質問ぞろいで
私だったら全部YESで困ってしまうのだが
一つだけしか選べないらしい。

「経営トップや上司が外国人になったら」というのは
外国人とはナニジンを想定しているのか。
そもそも新人ちゃんたちが
「トップが替わる」という意味をどこまで理解できているのか。
「自分の部下が外国人」なんて想像できないでしょ。
各項目の抵抗ある・ないの回答が50/50なのは
「んなこと聞かれても」という声なんじゃないかしら。
会社員歴の長い人を対象に調査したら
より強くはっきりと抵抗を示すかもしれないけどね。

以上、オマケの部分。
私がこのデータに興味を持ったのは
言うまでもなく英語のこと。
新社会人の59.0% (p.13資料より算出)が
「英語を勉強したい」ってびっくりだなぁ。
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by emi_blog | 2010-07-29 20:38 | 英語  

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