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小学生ぐらいの息子に"2"と"5"を作らせて
必死で写真を撮っているお母さんがいた。



カフェの前に大きなクリスマスツリーが飾ってあった。
席が空くのを待つあいだツリーを眺めていたら
その向こう側に行列ができているのに気づいた。

ツリーの正面の床にトリックアートが施されていて
写真スポットが用意されているのだ。
“撮られる人用”と“撮る人用”に
ちゃんと足形シールが貼ってあって
その指示どおりの位置に立つと
床に描かれた雪だるまや森の動物が立体的になり
小川にかかった橋の上にいるような写真が撮れる。

その橋の上に男の子が立っていた。
撮影者はお母さん。
ベストショットを狙っているのか
「手をもうちょっとこう」など細かな指示を出し
入念に作りこんで写メを撮っている。
男の子は最初のうちこそニコニコ楽しそうにしていたけど
なかなかお母さんのOKが出ないのと
私たちを含む通行人に見られるのでイヤになってきていた。
男の子の右手はチョキ、左手はパーになっている。

行列を気にしてか
お母さんは一旦撮影を中断してまた列の後ろに並び直した。
で、順番が回ってきて撮影再開となったが
やっぱり男の子にチョキとパーを作らせて
「もっと顔の近くに」とやっている。

その様子を見ながらYちゃんと
「あの"2"と"5"はどういう意味なんだろう?」
と話し合っていた。
『ダブルピース』ならともかく。
『25歳』には見えないしねぇ。
『12月15日』ではひねりすぎでしょう。
『7歳』になりました、かな?

ようやくお母さんの満足いく写真が撮れた。
気になるので「これ(チョキ+パー)は何なんですか?」
と尋ねてみた。
私は男の子に話しかけたつもりだったのだが
お母さんが満面の笑みで即答してくれた。
「25年だから、と思って」。
にじゅうごねん?
「年賀状の写真にするんです」。
25周年の何かをお迎えになるんでしょうか?
「いえいえ、来年は平成……あ?!
25年じゃなかった!」。

お母さんは「やっだー!」とか言って
私の腕をバンバン叩いてくる。
知らんがな。

「助かりました。ありがとうございます」なんて
お礼まで言われてしまった。
よかったですね、未遂で済んで。
もちろんお母さんはまた列の後ろに並んだ。
やっと解放されたと思った男の子には気の毒だが
なんだかちょっと良いことしたような気分になった。
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by emi_blog | 2010-12-17 04:49 | その他  

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