Happy New Year

日本語と英語の
年末年始の挨拶について考える。



年末年始の挨拶といえば
日本語では「よいお年を」と「明けましておめでとう」、
英語では"Happy New Year"。
入門編としてはそれだけ知っていれば十分。
日本語教室でも英語教室でもこれだけ教えておしまい。

しかしカタコトの域を出たい人にはこれでは足りない。
もうちょっと詳しい説明が要るだろう。

というわけで
日本語学習中のアメリカ人と米語学習中の日本人を想定して
私流に説明してみよう。

まずは日本語。
「よいお年を(お迎えください)」は"Happy New Year"と
意味的にも時期的にも、ほぼ同じ使い方と考えてよい。
その年の最後に会うと思われる頃に
相手にとって来る年が良い年になるように願って言う。
ただし、「よいお年を」は別れ際限定の挨拶なので
"Happy New Year"と違い、会ってすぐには使えない。
たとえば年末に招かれた家の玄関で「よいお年を」といきなり言うと
日本の人は「え、もう帰るの?」と思っちゃうよ。

言われた方は"Thank you. You too" のように
「ありがとうございます、よいお年を」と返せば概ねOK。
立場によっては「今年もお世話になりました」や
「来年もよろしく」の類を添えた方が適切な場合もある。

「(明けまして)おめでとう(ございます)」は英語にはない表現で
新年の喜びを相手と分かち合うための挨拶。
年が明けて最初に会ったときに言う。
言われた方は「おめでとう(ございます)」と返す。
「今年もよろしく(お願いいたします)」などを伴うことが多い。

この「おめでとう」は1月1日以降、地域によって異なるが
1-2週間は使える。
期間について詳しくは『松の内』『小正月』などのキーワードで
調べてみるとよい(参照)。

続いて英語。
アメリカではThanksgivingのある11月末から1/1までを
一般的にHoliday Seasonと考える。
この間にはさまざまな祝日が入っているので
その都度"Happy Thanksgiving" "Happy Hanukkah"などと言うが
宗教的にニュートラルにするためにも、特に12月に入ってからは
"Happy Holidays"を使う場合が多い。
概ね"Happy+祝日名"と覚えておけば大丈夫だが
Christmas だけは"Merry Christmas"(参照)。
日本では"Happy Christmas"もアリなので、ひっかけ問題だね。

これら"Happy~"の類を「おめでとう」と訳すのはまずい。
"We wish a Merry Christmas"の日本語版で
「おーめーでとクリスマス」という歌があるが
あれは明石家サンタで賞品がもらえたときだけにしておいた方がよい。
このあたりのややこしい話は『母の日』に書いたとおり(参照)。

これらHappy系の挨拶は別れ際だけでなく、会ったときにも使われる。
だからパーティーの最初と最後に同じ挨拶をする。
バレンタインや誕生日、イースター、ハロウィンなど、
年中行事的イベントはみんなそう。
日本人には違和感があるけど、ま、そういうもんだからしょうがない。

年末が近づいたら「よいお年を」の感覚で"Happy New Year"を使う。
会ってすぐ言われたら、"Happy New Year"と返す。
別れ際に言われたら"(同じ挨拶+to) you too"のように返す。
このへんは普段使っている"Have a good day/ weekend" などと同じ。

"Happy New Year"はこれから来る年への願いなので
1/1の年が明けた瞬間をもって終了。
それ以降はほぼ使わない。
ま、年の初めに会った人にこう言われて悪い気はしないから
使うのを咎められたりはしないけどね。

このあたりの感覚がつかめると日本の年賀状に
"Happy New Year"と書くのはヘンだよね、と思うようになる。
本当にそれを言いたい期間中、年賀状は郵便局で足止め。
元日に届けばまだマシだけど、1/2以降じゃあちょっとね。
やっぱり年賀状には1/1以降もしばらく使える
「おめでとう」の方が合う。

ついでに思い出したけど"Happy New Year"の頭に
"A"を付けて"A Happy New Year"という人はまだいるのかな。
あれはたぶん英語の冠詞を目の敵にしているような人が
'wish'の入った文かなんかを分解して
「"Happy New Year"には不定冠詞がなければならない」なんて言ったのを
伝言ゲーム形式であいまいに鵜呑みにした結果、挨拶にまで波及して
一時期、日本じゅうに流行したものだろうと推測する。

元日に届くはがきにポツリと一言、
"A Happy New Year"って書かれてもねぇ。
詩的といえば詩的だけどさ。

まとめ。
ちゃんと外国語を使えるようになりたい人は
文化や使われ方を含め、ややこしいことを我慢して
丁寧に吸収しましょう。
『ひとことXX語集』程度の学習しかできない人は所詮カタコト止まり。
それ以上に上達することはないとあきらめましょう。

ここまで読んで、なお「今年こそ英語!」と思えるぐらいの
骨太学習者が増えますように。
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by emi_blog | 2013-01-05 06:56 | 英語  

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