日本人の進化

郵便局から小包を出して
日本人の進化について仮説を立てて遊んでみる。



アメリカの郵便局にはClick-N-Ship(参照)といって
オンラインで送り状を作り、料金を支払って
自宅などのプリンタで印刷して箱に貼れば
そのまますぐに発送できるというサービスがある。

発送履歴はアカウントに保存されるので
送り主である自分の名前や住所などの情報は
ログインするだけで入力不要。
宛先も保存できるので繰り返し使うのに便利。
配送状況も簡単にチェックできる。
料金はクレジットカードかPayPalで払っておくので
窓口でもたつくこともなし。
そしてオンライン割引でちょっとだけ安い。
この良いことずくめのサービスが
商用の大口顧客だけでなく、個人の小包1個から使えるとは
ありがたいことだ。

で、郵便局へ。
取りに来てもらうサービスもあるみたいだけど、ついでがあったので。

珍しく空いていたのもあり、窓口のおばちゃんと
さっそく目が合った。
と同時に「そこへ置いてって」と言われた。
え?
バーコードの入った自家製送り状を見てのことだろうけど
確認しなくていいの?
"All set?"
"All set."

アメリカをよく知らない頃なら
「さすが大量生産・大量消費の大雑把な国。
多少の誤差が生じても気にしないのね」
という感想を持ったかもしれない。
そうじゃないよね。

このサービス、技術的には日本でも確実に実現できる。
でも他の理由により、まったく同じサービスはできない気がする。

日本だったらきっと“念のため”重さを量り直して
“いちおう”支払い済みの金額と料金を照合して
やっと"All set"になるだろう。
だからせっかく前払いと印刷をしておいても
結局窓口でそこそこの時間がかかるので
さほどメリットがないということになる。
しかし確認がなければ“裏技”と称して
料金をごまかすヤツが出てくるから
そのステップは省略できない。

市民は正しい料金を正直に払うという前提と
市民は正しい料金を正直に払っているという信用が
当たり前に存在する、ということ。
日本ではそんな長閑さは完全に失われてしまったから
つい懐古主義的に語りたくなるのだけど
実は世界では、2013年の今日現在も
別に珍しいことじゃないのかもしれない。
日本人が海外へ行くとのんびりした気分になることが多いのは
翻ってみれば日本ほどピリピリギスギスした国が
他にないからかもしれない。

商売や犯罪のやり方は象徴的ではあるけど
こうした例は、政治でも教育でも
もっと日常的な庶民の生活の中にでも見受けられる。
日本は少なくともアメリカと比較して
何事においても丁寧で繊細で慎重で巧妙で複雑。
だからどうしても2手3手先を読んで心配になって
ウジウジ考え込んで怖くなって動けなくなることが多い。

これを私は
日本人が進化してしまった結果なのだと思う。
日本人は他のどの国の人よりも速く進化している。
世界の中でどんどんどんどん先を行っている。
怖いから行きたくないのに、その抵抗自体がもう先を行っている。
皮肉なことだ。

郵便局の件に話を戻せば
オンラインで簡単に手続きできる技術が開発されるより先に
日本人はその手続きを使わせない社会を作り上げていた、ってこと。
「バスに乗り遅れた」んじゃなくて「バスより先に出発しちゃった」んだよ。

日本人はやがて他のヒトのためにお手本となるのだろうか。
それとも「ああはなりたくない」「ああならないように気をつけよう」と
反面教師に使われるのだろうか。

お楽しみに。
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by emi_blog | 2013-01-15 14:59 | 文化 | Comments(0)  

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