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関わらないということ

パソコンやビデオカメラなどの機材を持って
新幹線や地下鉄やJRに乗る。



荷物は約30kg。
キャリーバッグには4輪タイヤがついているから
駅構内などツルツルの道は脇に沿わせて連れて歩く。
舗道などでこぼこの道は2輪にして引いて歩く。

エレベータやエスカレータのあるところは
できるだけ利用させてもらう。
バリアフリーが完備されているといっても、
実際にはかなり遠回りをしないとその恩恵には与れない。

階段しかない場面もよくある。
気合を入れて、荷物を持ち上げ、腕力が続く限り
なるべく短時間で済むようにと早足で上り下りする。
前が詰まっているなと思うと
スマホを片手にゆっくり階段を上る人。
では少し間をとって、一気に上がろうとすれば
隙間にささっと入ってくる人がいる。
仕方なく、なるべく流れに乗るようにして進む。
それでも途中の踊り場で耐えかねて荷物を下ろすと
背後で舌打ちをされる。

だーれも、手伝ってくれない。

同じことをスーツケースを抱えて空港へ向かうときに
何度も経験している。
電車に乗り込むとき、短い停車時間のうちに
とにかく荷物を載せようとがんばっていても
他の乗客はその気配すら感じないかのように知らん顔をしている。
ドア付近に立ちはだかる人たちは迷惑そうにして私を見る。

イヤ、すべては私の都合で、
そもそも自分で運べるだけの重量の荷物なんだから
手伝ってくれなくて構わないんだよ。
皆さん、一刻一秒を争う忙しい生活をしているのだろうから、
先を急ぐのは当たり前。
その速度を落とさせるような邪魔者がいるのが悪い。
知らない人に関わって、厄介なことになるのも困るから
現代人の自己防衛として、見て見ぬフリがいちばんの得策。

わかるよ。
仕方がない。

でも、こういうことはアメリカでは絶対に起きない。
通りすがりの人が、当たり前に手を貸して
そのままさらっと通りすがっていく。
観光旅行程度でもこうした経験をしている日本人は少なくないはずだが、
この文化は日本国内へはなかなか輸入されない。

私のような健常者の荷物の話と並べて語ることはできないが
ここ数日話題になっている障碍者の入店拒否の一件も
この国らしい出来事だと思う。
他の国のことはよく知らないけど、
これほどひどくはないんじゃないかなと思う。

そのくせ、いったんレストランやホテルに客として入ると、
私に代わって荷物を運んでくれる人が次々に現れ
まるで箸より重いものを持たない姫のような扱いを受ける。
この人たちでさえ、制服を脱いで駅の階段を上るときは
私を無視するのだ。

こうして私の日本ラブはどんどん冷めていく。

by emi_blog | 2013-05-25 13:40 | 文化 | Comments(2)  

Commented by emi_blog at 2013-05-28 00:41
<追記
今日は階段を上る際に通りすがりの外国人男性に助けられた。ちょうど私が気合を入れて荷物を持ち上げるタイミングで通りかかり、いったん階段を上りかけていたのにわざわざ下りてきて荷物を運んでくれた。

日本にいる外国人たちにも思うところはあるんだろうね。

「誰もしないから、やらない」と「誰もしないから、やる」の違いかな。
Commented by BEKAO at 2013-05-30 05:49 x
何かしてあげたいと思ってすると、いい人に見られつけこまれます。
こんな日本だったけなぁとかなしくなる。誰がしたんでしょう?私は割り切って手を貸してます。100匹目の猿目指して。
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