気持ち悪い英語

「気持ち悪い英語」の謎について。



今回の帰国中に考えたこと。
日本人の話す英語の中で、日本人が聞いたとき
「気持ち悪い」と感じるものがあるようだが
それについて研究している人はいるのかしら。

英語のカリスマという人が芸能人を相手に
あっという間にペラペラになれる方法を伝授していた。
その番組では8人8様の「日本人の英語」が披露されていたが
うち数種類を私は「気持ち悪い」と思った。

サラッと聞ける発音が気持ち悪くないのは当たり前だが
カタカナ丸出しも、意外と気持ち悪くない。
で、気持ち悪いのは一貫して気持ち悪い。
何が、どこが気持ち悪いのか考えながら聞いていたのだが
はっきりわからないまま番組は終わってしまった。

この気持ち悪い英語、そういえばアメリカでは聞かない。
気持ち悪い英語を話す人が私の周りにたまたまいないのか、
アメリカへ来ると気持ち悪い要素が抜けるのか。

気持ち悪い英語を話している本人は
たぶん自分の英語を気持ち悪く感じていない。
でもそれを聞いた他人はたぶん共通して気持ち悪く感じる。
気持ち悪い英語の人同士で話した場合はどうなるのだろう。

英語以外の外国語にも気持ち悪いものはあるのだろうか。
日本人にとってある程度以上の馴染みがない言語では
おそらく気持ち悪さは発生しない。
では母国語である日本語ではどうだろう。

感覚の問題なので、気持ち悪く感じる感じ方にも
個人差があるだろう。
聞き手の言語レベルも気持ち悪さに影響するのではないか。
たとえば(日本にはほぼいないけど)英語をまったく話せない人も
「気持ち悪い」と感じることがあるのか。
それは英語が堪能な人の感じ方と一致するのだろうか。

番組ではネイティブが4人出演していて
日本人の英語についていいかげんな判定をしていたが
それはともかく、「気持ち悪い」という反応はなかったと思う。
実際、私の思う“気持ち悪い英語”は
それを話す人周辺ではネイティブらに受け入れられていて、
受け入れられている以上、本人は修正の必要性を感じず
むしろ促進され強固なものになっているのだろう。
ひょっとして日本人の英語を気持ち悪く感じるのは
日本人だけなんだろうか。
日本人にとっての気持ち悪い英語を
他の外国人、イギリスやアメリカのネイティブ、
あるいは他のノンネイティブに聞かせたらどうなるだろうか。
また、たとえばご近所の韓国人が話す英語を
日本人が聞いたとき
日本人の英語同様、“正しくない”箇所が目に付くようだが
あの気持ち悪さも感じられるのだろうか。

気持ち悪さと英語のレベルは関係するのだろうか。
気持ち悪い英語を話す人の中には、
文法が得意で語彙は豊富、学習者としての意欲もあって、
英語レベルとして総合評価の高い人がいそうな気がするが、
どうだろう。

そもそも気持ち悪いと感じる原因は何だろう。
原因は発音と決め付けてしまってよいのだろうか。
これは私の個人的な印象でしかないが
気持ち悪い英語のうち、一部は発音矯正指導によって
気持ち悪くなくなるだろうと思う。
が、それですべては解決されないだろう。
気持ち悪い英語のいくつかは
音声学的に“正しく”発音されているような気がする。

仮に発音の問題に絞るとして
それはある特定の音の出し方、調音の問題なのだろうか。
だとすればそれはどの音の、どういうズレだろうか。
どこまでは許容されて、どこから許容されないのか。

原因が解明されれば、
日本人の発音コンプレックス解消にも役立つかもしれないよ。
気持ち悪い発音の先生のせいで英語嫌いになる子とか、
英語っぽい発音を同級生に気持ち悪く思われるのを避けて、
教室でわざとカタカナ発音に変える中学生とか、
助けてあげられるかも。

多くの人が共通して不快感を持つとすれば
黒板を引っかく音のように
その生理的な反応には何らかの意味があるかも。

論文が何本でも書けるね。

このあたりのトピックでネット上をざっくり見渡してみると
「気持ち悪い」という声は確かに上がっていて
みんなが何を「気持ち悪い」と感じるのか特定するのは
そう難しくなさそう。
ところが英語教育は、いわゆる“正しい”発音になるよう
矯正することばかりに注力していて
「気持ち悪さ」の正体を解明しようとはしてないみたい。
英語教育関係者は言語学寄りが多いのに
なぜここんとこ、放っておいてるんだろう。
研究テーマとしてはかなりおもしろいと思うよ。

あ、もしかすると英語教育をやっている人が
気持ち悪い英語について触れること自体がタブーなのかしら。
でもねぇ、気持ち悪いもんは気持ち悪いよねぇ。
一般の人が見過ごせないものを
プロが気づかないわけないじゃん。

ちなみに私は発音そのものの指導はしない。
発音がコミュニケーションの妨げになっている場合
(特定の音が繰り返し相手の誤解の元になっているような場合)に限り
その修正を促すことはするが
基本的には“正しく”発音することに重きを置いていない。
「ネイティブを目指さない」という方針は発音も例外ではないし
私の考える英語教育、英会話指導においては
発音より大事なことが山ほどある。

というわけで私はやらないから
誰かやんな。


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辛口 (2007/4/25)
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by emi_blog | 2013-07-11 01:55 | 英語  

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