AGES

学習効果を最大にするために
大事なこと。



みんな忙しい。時間がない。お金もない。
でもやることはいっぱい。
じゃ、どうするか。
短時間で効率よく学習できる方法を考えなくちゃ。

というわけで、効果的な学習のために整えるべき
4つの大事な要素をまとめたモデルがAGES。
カリキュラムを作ったり、教えたりする人は
これを意識して、学習者の吸収力が高まるように
工夫するといい。
授業ひとつにしても、教える側だって
貴重な時間を使ってせっかくやるんだから
少しでも効果が高いほうがうれしいよね。

学習とは要するに、習ったことがパパッと出てくること。
英語学習でいうなら、覚えた単語が口をついて出るとか、
文法にひっかかりを感じずにすらすら読めるとか。
これには脳内のHippocampus (海馬)が関わっている。
海馬にとって良い条件だと、習ったことはしっかり記憶され
取り出しやすくなる。
つまり学習が起きる。
その意味で、AGESは海馬の状態を左右する条件とも言える。

以下、AGESとは何か、ざっくり説明。

Attention (注意、注目)
ひとつのことに集中できる環境では学習は促進され、
注意を払う対象が複数あると、学習は妨げられる。
海馬はMulti-task(同時進行でやる複数の作業)が苦手で
ニューロンもFiring (発火)しにくくなる。
だから“携帯オフ”が重要なんだよね。
日本語の「気が散る」は英語で説明しにくいけど
「注意が分散して、ニューロンの受ける刺激が弱まる」
ということを表すのにぴったりの表現だと思う。

また、学習の内容や方法が注意を引くようなものだと、
学習は促進される。
興味のある話題、身近なこと、ほどよい分量、新しい方法は
注意を引きやすい。
興味のないことは退屈で、多すぎる情報には圧倒され、
マンネリには飽きる。
ベテラン先生は気をつけたほうがいいかもね。

Generation (生成、創出)
ハードディスクは一度でも書き込めば
すべてきっちり記録しておいてくれて
記録した情報はいつでも呼び出せるけど
脳はそうはいかない。
記憶を呼び出しやすくするためには
しっかり定着させ、深く印象付けることが大事。
新しい情報が入ってきたら、自分の身に置き換えて考えたり、
理解したことを自分の言葉で言い換えたりすると良い。
英語学習でいうなら「実際に使ってみる」ってことだね。
聞き流しや丸暗記、繰り返しなどでは高い学習効果は望めない。

私がこうしてブログを使って
英語で仕入れたネタを日本語に訳しつつ、
自分の感想や考えを交えて文章にすると、
私の海馬はせっせと働く、というわけ。

Emotions (感情、情緒)
情緒が安定し、前向きな気持ちでいると学習効果は高まる。

でも、ネガティブな感情を学習に取り入れている例は
いっぱいあるよね。
叱ったり脅したり。怖がらせたり、焦らせたり。
その理由は①手っ取り早く、②瞬間的には効果があるから。
ネガティブな感情はポジティブな感情より簡単に起こせる。
そしてネガティブはポジティブより強い反応をもたらす。
だからAttention をぎゅっと引きやすい。
その場でパパッとうまくいくから、教える側は満足感を得やすい。

しかし、ネガティブな感情は創造力の邪魔をするので、
ネガティブな感情とともに覚えたことは、記憶には残っても
そこから何かを生み出したり、別のことに応用したり、
新たに展開させたりすることができない。
「知っているけど使えない」ということになりやすい。
受験のためにイヤイヤ英語を詰め込んだ人は
思い当たる節があるかもね。

Spacing (間隔をあけること)
新しく学習したことを脳がちゃんと消化できるように
途中で時間をとり、間をあけて次の学習に進むことが大事。
「時間がない」「お金がない」で短期集中、詰め込み学習をしても
結局はものにならない。
「急がば回れ」ってことかな。
ゆっくり、じっくり時間をかけて学習すると、しっかり定着して、
覚えたことを早く取り出すことができるようになる。

“英語ペラペラ”系のベストセラーに釣られそうになったら
これを思い出してほしい。
技術の発達により脳科学が証明しつつあるのは
"building learning connections is time consuming
and requires maintenance" (Davachi, et. al., 2010, p. 60)
「即席でできる学習はない」ということ。

イヤ、そんなこと本当はみんな知ってるでしょ?
「今すぐ」「簡単」「ラクラク」なんて甘い言葉に誘われて、
ちょっと夢を見ただけだよね。
気持ちはわかるよ。
脳科学のせいで、どうやらその夢は壊されそうだけどね。


Davachi, L., Kiefer, T., Rock, D. and Rock, L. (2010). Learning that lasts through AGES:
maximizing the effectiveness of learning initiatives. The NeuroLeadership Journal, 3, 53-63.

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by emi_blog | 2013-11-15 16:17 | 教育 | Comments(0)  

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