『銀世界』

『銀世界』という日本語について。



関東地方などの大雪を受けて、
日本から雪景色の描写が届く。
それで、気になった。

『銀世界』、どうして、『銀』?

毎度おなじみ広辞苑。

ぎん-せかい【銀世界】
雪が降りつもってあたり一面真白になっている景色を形容する語。
「一面の―」

ま、そうね。
じゃ、ついでに。

ぎん【銀】
④銀に似たかがやきのある白色。しろがね色。「銀髪・銀世界」
(他略)

「しろがね」は「白金」なので、じゃ、『金』はというと。

きん【金】
⑨こがね色。黄色。「金色(こんじき)」
(他略)

なるほど。
どうやら『銀』というのは「キラキラのうち、白っぽいもの」ということだね。
だから、

ぎん-ばん【銀盤】
(①②略)
③結氷面、また、スケートリンクの美称。「-の女王」

ぎん-しゃり【銀舎利】
(「しゃり」は俗に米粒の意)白米の飯。
1940年代、わが国の食糧不足の時代の語。

ってなことになるのか。
『銀河』とかもそうかな。

そういえば、「白銀の世界」とも言ったりするじゃん。
これは?

はく-ぎん【白銀】
①しろがね。ぎん。また、降り積もった雪のたとえ。
②江戸時代、銀を9センチメートルほどの平たい楕円形に延ばして
紙に包んだもの。通用銀の3分に当り、多くは贈答などに用いた。

うーん?
『銀』が「しろがね」なんだから
『白銀』は「しろしろがね」で、おかしくなーい?

…と思って調べてみたものの、
ネット上にも情報があまりないので詳しいことはわからない。
予想としては『銀』=「キラキラの白」から時代が下って、
どこかで「キラキラの白」を『白金(はっきん、プラチナ)』に譲り、
『銀』=「キラキラの灰色」という認識が広がったために、
雪を『銀』で表すためには『白』を付ける必要が生じたんじゃないかしら。
語義からしても、『白銀』という金属はなさそうだし。

ではそもそも『銀色』とは?と思って広辞苑を引くと、

ぎん-いろ【銀色】
銀のような色。しろがねいろ。


あ、逃げられた。
ここで行き止まり。

Wikipedia によると『銀色』(参照)は
「白色ないし明るい灰色で金属光沢を持つ、物体表面の光学的状態」。
なるほどね。
銀以外が出す銀色には『銀白色』、『銀灰色』というのもあるらしい。
ははぁ。
『金色』(参照)に比べて『銀色』は守備範囲が広そうだね。

ということは
『銀世界』の『銀』は、
「銀色といわれる金属光沢のうち、白色に近い色」
ってなことなんでしょうな。

ちなみに、たまに日本の人が使っているのを見かけるけど、
英語で雪景色を"*Silver World"とは言わない。
そこらじゅうを銀メッキされた、メタリックな世界を思い浮かべそう。

これはつまり、『銀色』の守備範囲のうち、
日本語感覚では「白色のほう」を取り、
英語感覚では「灰色のほう」を取るということだろう。
英語母語話者で日本文学に心ひかれるタイプの人は
こういうところに感動するんじゃないかしら。

さらにちなみに、日本語の髪は
基本的に「白」に、たまに「銀」になるけど、
英語の hair は基本的に"gray"に、
まれに"white"や"silver"になる。
英語の"gold" はキラキラしていない山吹色のような黄色を含む。

そう見えてる、というよりは
名づけ方の違い。切り口の違い。
外国語って、そういうこと。


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by emi_blog | 2014-02-10 04:44 | ことば | Comments(2)  

Commented by みな at 2014-02-18 22:40 x
白は骸骨の象形文字、死の色。だから白髪は銀髪ではなく、神道の死に装束は白い。銀はこの不吉をさけるため、同じ色を言い換え、当てたただけの側面も。銀に見えると思い込みたい。
Commented by emi_blog at 2014-02-19 05:12
「白」の字源にも諸説あるようです。ご参考までに。
http://blog.goo.ne.jp/yousan02/e/55504adac8f40940581275e239612657
コメントありがとうございました。
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