『むしやしない』
『むしやしない』って、何?
毎年恒例の、和菓子を贈る日に備え、
ネット上で調べたり注文をしたりしている中で
『むしやしない』という言葉に出会った。
日本語ネイティブだけど、初めて聞いた。
どこで区切るかさえもわからない。
「む+しやしない」=む、することはない?
む、って何?
「むし+や+しない」=虫や竹刀?無視や市内?
「むしやし+ない」=むしやし、がない?
むしやし、って何?
さっぱりわからないので辞書を引いてみた。
まずは手元の広辞苑より。
むし-やしない【虫養ひ】
食欲その他の欲望を一時的にしのぐこと。
また、そのもの。
玉塵抄(45)「叢林のことばに―の薬と云ふ」
ほほーお。
「お腹の虫を養うこと・もの」ですか。
なるほどー。
ネットでも調べてみる。
おぉ、京ことばなのね。
むしやしない
空腹を一時的にしのぐ食べ物・むしおさえ (参照1; 参照2)
むしやしない (京都の方言)
食間の軽い食べ物。
つまらんもんですけど、お虫養にどうぞ
(つまらないものですが、軽食にどうぞ)(参照)
丁寧語では「おむしやしない」かぁ。
何度か繰り返し唱えてみる。
口の動きが新鮮でおもしろい。
念のため広辞苑の他、大辞林や大辞泉も引いてみたが、
どうやら辞書たちは『むしやしない』を方言扱いしていない模様。
これでは日本語としてどのくらい一般的なのか、見当がつかない。
たとえば『間食』や『軽食』、『おやつ』と比べてどうなのか。
ひょっとしたら世間では知らない人はいないぐらいの
常識中の常識なのかもしれない。
辞書は、見方によってはそういう緊張感をもたらす。
それが、「京都の方言」と言ってもらうことで、
ネイティブの端くれとしては気が楽になり、肩の力が抜け、
その抜けたところに、京の文化や言葉の醸し出す
独特の風情がするりと入ってぴったり収まり、ほっこりする。
アメリカにはナッツやチップスなど、
24時間体制で「むしやしなってる」人がたくさんいる。
「それ、日本語では"Mushiyashinai"って言うんだよ」って
流行らせてみようかしら。
リズムがいいから覚えやすそうだし
「ネイティブも知らない日本語だよ」と言ったら喜ばれそう。
ふふふ。
毎年恒例の、和菓子を贈る日に備え、
ネット上で調べたり注文をしたりしている中で
『むしやしない』という言葉に出会った。
日本語ネイティブだけど、初めて聞いた。
どこで区切るかさえもわからない。
「む+しやしない」=む、することはない?
む、って何?
「むし+や+しない」=虫や竹刀?無視や市内?
「むしやし+ない」=むしやし、がない?
むしやし、って何?
さっぱりわからないので辞書を引いてみた。
まずは手元の広辞苑より。
むし-やしない【虫養ひ】
食欲その他の欲望を一時的にしのぐこと。
また、そのもの。
玉塵抄(45)「叢林のことばに―の薬と云ふ」
ほほーお。
「お腹の虫を養うこと・もの」ですか。
なるほどー。
ネットでも調べてみる。
おぉ、京ことばなのね。
むしやしない
空腹を一時的にしのぐ食べ物・むしおさえ (参照1; 参照2)
むしやしない (京都の方言)
食間の軽い食べ物。
つまらんもんですけど、お虫養にどうぞ
(つまらないものですが、軽食にどうぞ)(参照)
丁寧語では「おむしやしない」かぁ。
何度か繰り返し唱えてみる。
口の動きが新鮮でおもしろい。
念のため広辞苑の他、大辞林や大辞泉も引いてみたが、
どうやら辞書たちは『むしやしない』を方言扱いしていない模様。
これでは日本語としてどのくらい一般的なのか、見当がつかない。
たとえば『間食』や『軽食』、『おやつ』と比べてどうなのか。
ひょっとしたら世間では知らない人はいないぐらいの
常識中の常識なのかもしれない。
辞書は、見方によってはそういう緊張感をもたらす。
それが、「京都の方言」と言ってもらうことで、
ネイティブの端くれとしては気が楽になり、肩の力が抜け、
その抜けたところに、京の文化や言葉の醸し出す
独特の風情がするりと入ってぴったり収まり、ほっこりする。
アメリカにはナッツやチップスなど、
24時間体制で「むしやしなってる」人がたくさんいる。
「それ、日本語では"Mushiyashinai"って言うんだよ」って
流行らせてみようかしら。
リズムがいいから覚えやすそうだし
「ネイティブも知らない日本語だよ」と言ったら喜ばれそう。
ふふふ。
by emi_blog | 2014-02-19 06:17 | ことば | Comments(2)
Commented
by
tak-shonai
at 2014-02-20 18:43
x
「むしやしない」 は明らかに京言葉で、他で使われているのをあまり聞いたことがありません。間食というある種贅沢な文化は、地方ではあまり普及する余裕がなかったからではないかと思っています。
(なにしろ、江戸時代中期になるまでは、日本の食文化は一日二食でしたかから)
時代が下って江戸で昼時に間食するようになっても、「むしやしない」 というような、関西的なじゃらじゃらした表現は、江戸の気風に合わなかったようで、八つの刻 (午後2時頃)に食べるので 「おやつ」 なんてことになったようです。
(今は昼食と夕食の間の間食が 「おやつ」 ですが)
ちなみに、日本の辞書は京言葉と江戸言葉を方言扱いしない不文律があるかのようですね。
(なにしろ、江戸時代中期になるまでは、日本の食文化は一日二食でしたかから)
時代が下って江戸で昼時に間食するようになっても、「むしやしない」 というような、関西的なじゃらじゃらした表現は、江戸の気風に合わなかったようで、八つの刻 (午後2時頃)に食べるので 「おやつ」 なんてことになったようです。
(今は昼食と夕食の間の間食が 「おやつ」 ですが)
ちなみに、日本の辞書は京言葉と江戸言葉を方言扱いしない不文律があるかのようですね。
0
Commented
by
emi_blog at 2014-02-21 00:59
なるほど。ありがとうございます。
そして、
>関西的なじゃらじゃらした表現は、江戸の気風に合わなかった
「マック」対「マクド」、「セブン」対「セブイレ」等… この相容れない感覚はあいかわらずのようですね。
そして、
>関西的なじゃらじゃらした表現は、江戸の気風に合わなかった
「マック」対「マクド」、「セブン」対「セブイレ」等… この相容れない感覚はあいかわらずのようですね。