『ビデオ』

『VTR(ブイティーアール)』という言葉は
まだ使われてるんだね。



『VTR』=VideoTape Recorder。
Wikipedia (参照)によると
「映像信号(ビデオ信号)を記録するテープレコーダー」。

そうだよね。
アメリカでは普通『VCR (VideoCassette Recorder)』、
日本では『ビデオデッキ』と呼ばれている、
あの装置のことだよね?

テレビなどで
「VTRにまとめました」
「VTRで確認してみましょう」
のように使われているところを見ると、
どうやら『VTR』とは「(資料)映像」、
つまり「Video」のことを指しているっぽい。
でも『ビデオ』とは言わない。
略して「ブイ」と言ったりもするが
この「ブイ」は『ブイティーアール』の「ブイ」であって、
「Video」の「ブイ」では、たぶんない。

「英語が」「外来語が」「欧米では」と、
なんじゃかんじゃ言う人が大勢いる国なのに
「VTR」は奇跡的に放置されているということだろうか。
不思議。

それで考えた。
じゃあ『ビデオ』って何だ?

日本語の『ビデオ』は、
かつてVHSなどの磁気テープ (videotape・名詞) のイメージで
安定していた。
それがDVDなどに変わってテープが姿を消しつつある今、
行き場が定まらず、迷っているのではないだろうか。

『CD』の登場で『レコード』に古臭さが付加されたように、
『DVD(ディーブイディー)』に対する『ビデオ』も“昔のもの”として
居場所を狭めていくかと思いきや、そうはならなかった。
『ビデオ』は記録媒体としての、あの黒い四角い箱を離れ、
「動きのある画を記録したもの」、
つまり「Video」に近い意味で使われるようになってきている。

たとえば家庭用や防犯用など、
素人でも扱えるカメラによって録画されたものは
普通に『ビデオ』と言われている気がする*。
これに対し、録画を生業とするプロが撮ったものを
『ビデオ』と呼ぶと、ちょっと差し支えがありそう…なのかな。
どうでしょ?

インターネットに上がる『ビデオ』は
「Video」とほぼ同義のようなのだが、
ここでは『動画』や『映像』という言葉とぶつかる。
『動画と映像の違い』というこちらの記事(参照)によると
「動画=撮影しっ放し、映像=編集済み」
という区分をしている人もいるようだ。
映像会社の人なら「うちが作っているのは動画じゃありません」と
言いたくなるんでしょうな。
このプロ意識を上述の私の感覚と重ねると
子どもの運動会を撮影したようなものは『ビデオ』であって、
『動画』でもあるかもしれないけど
テーマを持たせて編集しない限り、
『映像』ではない、ということになる。

先ほどの記事を書いた人は、
“動画マーケティング”という職業的立場から
「動画=インターネット上、映像=テレビや映画館」
という、公開場所による区分を試みている。
うーん。
となると、カメラで撮って家族だけで楽しむ
“未公開”のものは『動画』でも『映像』でもないってことかな。
そこをカバーするのが『ビデオ』と考えることもできるか。

というわけで、暫定まとめ。
・VTR=テレビ番組内などで紹介する資料映像。
 略して「ブイ」。
・動画=プロアマのいずれかが録画した作品。
 インターネット上で公開されているものを指す場合が多い。
・映像=主にプロによる作品。
 「動画」よりもどことなく格調が高い。
・ビデオ=上記すべてを含むような、そうでもないような。

『ビデオ』の今後に注目。


*「ホームビデオの映像」というような表現では
『ビデオ』は『ビデオカメラ』の略として使われている。
『ビデオデッキ』からの伝統により、
“『ビデオ』=録画機器”
というイメージは根強いのかも。
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by emi_blog | 2014-03-04 22:16 | ことば  

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