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『一〇三歳になってわかったこと』

『一〇三歳になってわかったこと』を読んだ。



母から「よかったらどうぞ」と渡された。
書店のカバーがかかっていたから、
表紙もタイトルも見えない状態だった。

うちの両親は私に似ず、年がら年中、本を読んでいるタイプ。
二人の間では本を薦めあったり感想を言い合ったりしているし、
きっと私に読ませたい本はたくさんあるのだろうけど、
本嫌いの私に気を遣ってか、私に本を薦めるということはしない。
父も母も、たまーに、ランダムに、
「よかったらどうぞ」と渡してくるだけ。
前フリも、なんにもなし。
後で、私が読んだかどうかの確認もしない。
ほったらかし。

そんなわけで今回も、どんな本なのか、誰が書いたのか、
なぜ「よかったらどうぞ」なのか、など何もわからない、
ミステリーツアーみたいな感じで始まった。

おぉぉ。
著者は篠田桃紅。
ニューヨークとも縁の深い、著名な美術家。
超カッコいいおばあちゃん。
書に和に文字アートと、私の好きなツボ満載。

序盤は生きるということについて。

「自由という熟語は、自らに由ると書きますが、
私は自らに由って生きていると実感しています。」(p.15)

「古代の「人」のように、最期まで、
一人で立っている人でありたいと願っています。」(p.18)

「体の半分はもうあの世にいますから、この世にいるよりも、
少し遠見がきいて、客観視するようになったと
いえるのかもしれません。」(p.29)

あぁ、なるほど。
母が何を考えながらこの本を読んだのかが伝わってくる。
そして、うちの母は本当に心の底から、
私のすべてを受け入れてくれているのだなと思う。

そして外国や言葉や文化や友人や自然を通って、
最後は親子について。

p.161を引用しかけて、やめた。
下手に引くと、まるで母が私にここを読ませるために
私にこの本を渡したように見えてしまう。
あの人は、そういうつまらないことはしない。


篠田 桃紅. (2015). 一〇三歳になってわかったこと:人生は一人でも面白い. 幻冬舎.


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by emi_blog | 2015-12-31 16:49 | 読書感想文 | Comments(0)  

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