ホールシング

ミスドで音声学。



ホールシング”とはカラフルにデコレーションされた
棒付きのミニドーナツ。
新製品なのかと思っていたら
そもそもはリバイバルで
去年も期間限定で売られていたらしい。

問題はその名前だ。
英語っぽいがどこにもスペルがない。
それ以外のドーナツは日英表記なのに。

おそらくは"whole thing"だろう。
でも意味がわからない。
"small enough to eat the whole thing"などと
こじつけるか。

他に可能性があるのは
ドーナツだけに"hole"とか
現代なら「フォ」だろうけど復刻版を意識して"fall"とか?
"hall"で"sing"とか"swing"とか?
いっそ"false-ing"とか??

話題はsとthの発音に移った。
日本語ではどちらも「サ」行になる。

Hちゃんが英語児童書の中に見つけたという
「前歯が抜けている状態での発音」によれば
"something"は/tΛmθiŋ/
つまり/s/が/t/になってthはそのままだという。

IPAの表が頭に浮かんだが
とっさによい説明ができなかった。

「要は呼気をどこで(調音点)
どのように妨害するか(調音法)なので
舌で前歯のところがしっかり塞げれば
舌と歯茎で摩擦を起こして/θ/が発音できるが
前歯で摩擦を起こす/s/は歯がないとどうにもならない」
…というようなことを言ったが定かでなかった。

で、ちゃんと調べる
まず/θ/音は歯摩擦音(dental fricative)。
「硬い上歯と柔らかい舌の接触面に空気が通ると出る」
とのこと。
ふむふむ。

「幼児は/s/が発音できず/θ/になってしまう」
という記事も。
辞書にも"lisp(舌足らず)"とは
「歯擦音/s/や/z/を/θ/のように発音してしまうこと」と載っている。

日本人は「th難しい!」と言ってしまうが
実は/s/の方が難しいということだ。
「日本人幼児でも/s/は4歳以降になって初めて発音可能」
という習得研究もある。
(ついでに“ホールシング”の「シ」は歯茎硬口蓋音。)

/s/は歯茎摩擦音(alveolar fricative)。
/t/は破裂音(plosive)だが
調音点(=舌のポジション)は/s/と同じく歯茎。
だから前歯がない状態では
摩擦の代わりに破裂が起き
/s/→/t/という変化が生じたのか。
だから「おかあたん」なんだね。
なーるほど。

…お?
ちょっと待って。

/t/の発音をしてみる。
続いて/s/を出してみる。

舌が下がるぞ!

さらに調べてみると
日本語の「サ」行は/s/よりも
舌の位置が低いことがわかった。

ということは
私の/s/の発音は長年
歯茎ではなく歯で摩擦を起こしているという
日本語訛りだったのだ。

She sells sea shells at the sea shore.
佐賀の佐々木三郎さんと佐渡の佐々佐吉さんが、
去る日酒場で皿の鯖を肴に酒を差しつ差されつしていたとさる人が囁いた。

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by emi_blog | 2006-08-23 23:10 | 英語  

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