褒め

“褒め”の作用と影響について
考える。



AさんとJさんを同じように褒めたとき
その吸収の仕方が大きく違うので
理由を探ってみたくなった。

比較のためここでは
褒めの対象になる完成度や褒め方などの要素は
完全に同質のものとする。

褒められるととてもうれしそうにするAさん。
目が潤んだり頬が赤くなったり。
一方Jさんは表情を変えず
冷静に受け止める。

ヒントは意外性。
Aさんにとって褒められることはサプライズ。
Jさんにとっては想定の範囲内。

褒めの現場に持ってくる作品のタイプが
まったく違う、ということ。

たとえて言うなら
Jさんは積み木を積んで持ってくる。
足りないのは最後の“褒め”のピースのみ。

積み木は最後のピースが入りやすいように
ちゃんと開けてある。
だから褒めてもらうと安心するし
穴が開いたままでは寂しい。

Aさんはブニョブニョの液体のようなものを持ってくる。
自分でもこれが作品なのかどうか判断できない。
“褒め”は凝固剤のような働きをする。
適切な粉を振りかけてもらうと
ブニョブニョが一挙に形になりはじめる。
粉の成分は多少ハズレでも構わないが
とにかく振りかけてもらわないことには
形にならない。
褒められてある程度形が見えてきたら
さらに改良する意欲が沸く。

だからAさんは褒められると心から感謝する。
“褒め”なくして作品は生まれなかった。

Jさんもありがたいとは思っているけど
お礼っていうのにはちょっと違和感がある。
だって作品はすでにほぼ完成の状態だったし。
確かに最後のピースはあるに越したことはないが
最悪なくてもなんとかなる。
で、つい「いやいや、そんな」と否定してしまう。

これをふたつの角度から検証する。

ひとつめは作品を作る工程。
Jさんは設計図や予想図を基に
土台から“褒め”に至るまでの構想がある。
Aさんにはそれがない。
自由な発想でその場の状況に応じて
自分でも予想していなかったものができあがる。

ふたつめは褒められない場合のダメージ。
そもそも“褒め”は相手主導で保証がないので
Jさんは褒められなかった場合に備え
最後のピース周辺を繰り合わせ
それなりに仕上げる能力がある。
ダメージは最小に抑えられる。

Aさんにとって“褒め”が欠けることは致命傷。
褒められないなら
作り直しか挫折しかない。

ちなみにJさんとAさんが出会うと
“褒め”に過不足があってお互いに不満が残る。
JさんのオマケがAさんにとっては死活問題なのだから。

さて、このふたり。
作品に自信があるのはどちら?
作品として良いものを作るのはどちら?
伸ばすのに手間がかかるのは?
純粋なのは?賢いのは?
強いのは?弱いのは?
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by emi_blog | 2007-10-19 02:35 | その他  

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