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集合知

集合知時代に求められる
質問スキルについて。



英語ではcollective intelligence, collective knowledge,
wisdom of crowds などと言われる。
みんなでよってたかって知恵を出し合い、
その中から、あるいは総合体として、答えを見つけるという
やり方のこと。

先日、takさんが「5 の間に 4 を書くには?」というお題で
ブログ読者から答えを募る記事を書かれた。
"How to write 4 in between 5" という問いに対し、
"F(IV)E"と答えるのに匹敵するようなナイスな答えの
日本語版を作ろうという試みだった(参照)。
そして翌日までに素晴らしい答えが2つも寄せられた(参照)。

これで思い出したのは
科学者が10年悩み続けた難問を
オンラインゲーム上に投げかけたら
ゲーマーたちがよってたかって10日で解いた、という話
参照1参照2)。
Web 2.0 (参照)という言葉は今もあるのかしら。
インターネットが発達したおかげで
「集合すること」も「知恵を出し合うこと」も
とても身近になった。
ねずみ算も集合知の一例だそうだけど、
いまや集合知に参加するためのハードルはないに等しく、
ということはそこに集まる情報や知恵の量は
無限といっても過言でないほど膨大なのである。

そういう時代に重要になってくるのは
お題を出す側のスキルだろうと思う。

ネット上でひとたび質問を投げかければ、
抱えきれないほどの情報が瞬時に集まる。
集まった情報の中には、使い物にならないものが
大量に含まれる。
それをあらかじめ予測し、有益な情報だけを
効率よく集めるにはどうすればよいか。
“お題”を出す場所を選び、回答者を絞り込み、
どんな情報を集めたいのか具体的に説明するなど、
フィルタリングの役目を果たす“お題”を
上手に出すことができなければ
集まった情報の山の前に圧倒されるばかりで
必要な情報はゴミに埋もれて見つけ出せず、
せっかくの集合知を使いこなすことができない。

いわゆる知恵袋的サイトでよく見かける、
何が聞きたいのかわからない質問には
やはりそれなりの回答しか集まっていない。
これは集合知がアテにならないのではなく、
質問者に集合知を機能させるだけの
スキルが備わっていないのだ。

その意味で、今回のtakさんのお題は理想的なものだった。
提示された問題そのものは興味深く、
集合知を引き出す動機づけとしてじゅうぶんな力を持っていた。
お題はtakさんの高い文章力と豊かな表現でわかりやすく、
takさんがどんな回答を求めているかが明確に伝わった。
自ら「無粋」な例を示されたのもよかった。
質問者がこうした手間を惜しまないことによって
回答者の協力しようという気持ちは強くなる。
それを、日頃から歯ごたえのある文章を読み慣れており、
takさんの文芸的遊び心にも理解のあるブログ読者に向けて出す。
そりゃ、ドンピシャで、予想を超えるクオリティの高い回答が
得られるわけさ。

誰でも集合知を利用できる時代。
利用する人の能力差が顕著に表れる。
「何がわかんないか自分でもよくわかんないけど、
いっぱい人がいれば誰か助けてくれるだろうから
とりあえず聞いてみよ」では
宝の持ち腐れになるだけなのである。

by emi_blog | 2013-10-23 03:48 | その他 | Comments(2)  

Commented by tak-shonai at 2013-10-23 17:25 x
的確な分析、ありがとうございました。

「無粋」 も時には役に立つと知りました (^o^)
Commented by emi_blog at 2013-10-24 03:35
いえいえ、具体例の提示、情報可視化、いずれも伝わりやすさのための重要なテクニックです。
※みなさんへ。「無粋」は元記事から引いた“ご本人談”であって、実際の例が無粋なわけではありません(という無粋な補足)。
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