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セリフ

ドラマとか映画とか、セリフものが苦手。



オペラやミュージカルみたいに
もう会話も何もあったもんじゃない、というような
思いっきり別ジャンルに行っちゃうか、
あるいはSitcom やコントみたいに
あからさまに作りこんで、練りに練って
芸術的とも言えるような言葉の掛け合いで
楽しませてくれるならいいんだけど。

ドラマや映画のように
普通の会話に見せた作り物の会話は
気になることが多すぎて、ツッコミどころが多すぎて、
聞いてらんないのだ。

同じ理由で、リハーサルを重ねて丸暗記したような
セリフっぽいスピーチや講演も苦手。
がんばったんだね、とは思うけど
人工的なニオイが気になって内容が入ってこない。

これは職業病。
まったく展開の読めないリアルな会話を
毎日シャワーのように浴びまくっているせいだ。
以前はドラマも映画も問題なく見てたのに。
会話の研究をするようになって発症し、
悪化の一途をたどっている。

役者じゃない本人が、台本のない本物の会話をするという
リアルならではの緊張感、ゾクゾクするような刺激、
とれたてピチピチの新鮮さ、意外性、ジレンマ、
ヤラセなしのグダグダ感、自由さ、おもしろさ。
その贅沢がすっかり当たり前になっているから
私はいわば不都合なほど舌が肥えてしまっているというか
味覚障害状態なのだろう。
計画どおり、練習どおり、予定どおりの
人工的な言葉のやりとりでは、もう何の味も感じられないのだ。

毎食ジビエを食べている人に
豆腐ハンバーグを出すようなもんかしら。
違うかしら。
どうかしら。

生身の人間の、タネもしかけもない会話ってのは
そのくらい魅惑的なわけよ。
伝わるかなぁ。


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by emi_blog | 2015-11-11 10:43 | 研究 | Comments(0)  

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